Archive for the ‘本の紹介’ Category

読書の秋です。

月曜日, 10月 13th, 2014

台風通過中です。
しょうがないことですが、
あまりにも開店休業状態(昨日から)で、意気消沈しています。
事務仕事もうわの空なので、
気分転換に、本の紹介でも。

 

『女の一生』 伊藤比呂美 (岩波書店)

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数々の彼女の著作で聴き続けたことばが、比呂美節が、
取捨選択され、整理整頓され、
何を訊いても「はい、これ」と差し出される。
一家に一冊常備して、
娘にも、主婦にも、働く女にも、読んで欲しい一冊です。
もちろん男性も読んで、
「ほう、女というのはこういう風に考えておるのか」と学習して頂きたい。
『MONKEY vol.4』 (スイッチ・パブリッシング)

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毎回楽しみなモンキー最新号です。
いきおい全然衰えておらず、頭からさいごまで楽しいです。
村上春樹の「かえるくん、東京を救う」バンド・デシネ版は、
フランス本国より、一足先に掲載だそう。
でも、一番楽しみにしていたのは、ジャック・ロンドン「野生の呼び声」。
柴田さんの新訳で一挙掲載です。
ほかにも、池澤夏樹さんと柴田さんの対談あり、連載ものあり、
へたな単行本を1冊買うよりずっと充実している、といつも思います。
お買い得!

 

『雲の上に住む人』  関次廣・山内悠 (静山社)

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写真家の山内悠さんが以前トークショーで語ってくださった、山小屋での日々。
写真とともに忘れられなくなりました。
その日々と、そこで四十年、富士山と登山者を見守り続ける山小屋の主・関さんの言葉を、
写真と一緒に山内さんが綴りました。
「山小屋は自然と人間の世界が交差するところ」そう語る関さん。
でも、山小屋にくるのは、自然に寄り添える人ばかりではありません。
わがままなひとや、無知なひと、山に迷惑をかけるひと、そんな人達もいます。
山へと向かう人たちが、関さんの言葉をかみしめて登ってくれればと思います。

 

『食べごしらえ おままごと』 石牟礼道子 (中央公論新社)
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石牟礼さんの本を読んでいると、つい声がでる。
自分が住んでいるところは少し違うけど、とても似ている、
ここよりもう少し南の言葉を、口に出して喋ってみたくなる。
目で読んでいたのに、音になって耳に入ってきて、
目には文字ではなくて、
道子さんが食べごしらえの、そのことはじめにといだ米や、
盛られた刺身、団子にまかれたあざやかな茗荷の葉っぱが見えてくる。
耳には、赤子が死んだ日にひっそりと搗かれる餅の音、鼻には薬湯のかおり・・。
気付けば、器官を総動員して読んでいる。
もっと、たくさんの人に読んでほしいと、そう願います。

 

 

だらだらと書いているうち、台風一過。
晴れてきました。

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“旅するブックシェルフ”の本

木曜日, 1月 16th, 2014

展示中のnakabanさんの”旅するブックシェルフ”から、本の紹介です。
いまさらですが・・・、あと少し展示中ですので、ご勘弁を。

「インド夜想曲」アントニオ・タブッキ
主人公の「僕」はイタリア人で、インドを失踪した友人を探している・・。
旅行記かと思えば、幻想と瞑想に充ちた世界へと誘われる。
インドという国の奥深さを、そこを浮遊するように体験させてくれる。

「終わりと始まり」 ヴィスワヴァ・シンボルスカ
詩というものがいまだによくわからない。
なのに、シンボルスカの言葉は水のようにするすると入ってくる。
と思っていると、さいごやっぱりわからなくなる。
でも、その言葉は確かに体に根を張ってしまう。

 

冬の本など

木曜日, 11月 21st, 2013

ずいぶんと本の紹介をしていないとご指摘をいただき・・。
どころか、ブログすらさぼっていました、すみません。

寒くなりました。
暖かい部屋で本を読むのがなんとも幸せだという声が聴こえはじめましたので、
冬の本など、いくつか。

「真穴みかん」 広川泰士

愛媛県八幡浜市、真穴というところで作られる真穴みかん。
みかんそのものと共にカメラがとらえるのは、日本の原風景。
収穫する手、道具、着古された衣服、
鈴なりのみかん、暮れていく入江、
どの写真も、ああこれを私は知っているという気持ちにさせられる。

熊本で生まれ育ったので、冬と言えばみかん。
ばあちゃんに、みかん食べるから持ってきてと言われて1個持っていくと、
”1個てあるかい、2、3個持ってこんかい”と怒られたことを思い出した。

「火を熾す」 ジャック・ロンドン

短篇小説の名手ジャック・ロンドンの200を超える短篇の中から、
翻訳の名手柴田さんが、選りすぐって翻訳した短編集。
表題作の「火を熾す」は極限の寒さの中で、
死へと追い込まれていく人間を描いた傑作。
極限の寒さを想像しながら、ストーブの前でぬくぬくと、これが楽しい。

「富士日記」 武田百合子


冬の本というか、冬になると読みたくなる。
夫・泰淳に「何も書くことがなかったら、その日に買ったものと天気だけでもいい」
と言われて綴られた富士山荘での日記。
日々の瑣末な出来事を追ううち、彼女と生活しているような心持になる。
愛犬ポコが死んでも、お腹はすく。買い物もする。
そして、その行間に彼女は泣く。何を見ても涙が出てくる。
「ポコ、早く土の中で腐っておしまい」素っ気なく書かれた一行に、
百合子さんの姿を見て、彼女に夢中になる。
百合子さんと一緒にいたくて、読み終わりたくないから、だらだらと頁を繰る。
毎年、お正月は「富士日記」を読んでごろごろ過ごしたいなあと思いながら、
果たせずにいる。

 

「冬の本」 夏葉社


まさに冬のための本で、84人の「冬」と「1冊の本」をめぐるエッセイ。
冬に読んだ本、冬になると思い出す本。まるで冬のような本。
この本を、冬に誰かに贈るのもいいかもしれない。
誰かの冬の本の記憶が、また別の誰かの冬の記憶とつながるかもしなれい。
拙文ながら、私も書かせて頂きました。
それはさておいて、いい本です。

写真集 『光と影』  川内倫子 

月曜日, 8月 27th, 2012

去年の春、写真家の友人が被災地へと行きました。
そのわりとすぐ後、会う機会があったのですが、
「目の前に白と黒の鳩が飛んできて、
がれきの中に舞い降りて、しばらくそこにいたんだ。」
と言っていました。
夢中でシャッターを切ったと。

かつてあった人の営みが
かけらとなって無情に散らばるがれきに降り立つ、
白い鳩と黒い鳩。
その象徴的な姿。
脚にはバンドが巻かれているので、
家か飼い主を探しているのでしょう。
彼らは意味を持たせる為ではなく、
ただそこに居るのだけれども、
やはり、私たちはその姿にこの世界を投影してしまう。

そして、その場に写真家である彼女が居合わせたから、
その姿を見ることができる。

彼女のまわりでは、そういうことがしばしば起こる気がする。
それもひとつの才能だと思うし、
もしかしたら逆で、
そこに居合わせる為に与えられた写真の才能かもしれないし。

そこで撮った写真が一冊の本になりました。
美しいです。
こういう場所を撮った写真が美しいということに
抵抗がある人もいるでしょう。
感じ方はもちろん人それぞれ。
私は美しいからこそ、胸を突かれる。
美しければ美しいほど、
そのがれきの下にあったものに馳せる想いが強くなる。

是非、多くの人に見てほしい本です。

 

『光と影』  川内倫子
価格  2625円
経費を引いた売上の金額は被災地の復興支援への寄付
となっています。