冬の本など

11月 21st, 2013

ずいぶんと本の紹介をしていないとご指摘をいただき・・。
どころか、ブログすらさぼっていました、すみません。

寒くなりました。
暖かい部屋で本を読むのがなんとも幸せだという声が聴こえはじめましたので、
冬の本など、いくつか。

「真穴みかん」 広川泰士

愛媛県八幡浜市、真穴というところで作られる真穴みかん。
みかんそのものと共にカメラがとらえるのは、日本の原風景。
収穫する手、道具、着古された衣服、
鈴なりのみかん、暮れていく入江、
どの写真も、ああこれを私は知っているという気持ちにさせられる。

熊本で生まれ育ったので、冬と言えばみかん。
ばあちゃんに、みかん食べるから持ってきてと言われて1個持っていくと、
”1個てあるかい、2、3個持ってこんかい”と怒られたことを思い出した。

「火を熾す」 ジャック・ロンドン

短篇小説の名手ジャック・ロンドンの200を超える短篇の中から、
翻訳の名手柴田さんが、選りすぐって翻訳した短編集。
表題作の「火を熾す」は極限の寒さの中で、
死へと追い込まれていく人間を描いた傑作。
極限の寒さを想像しながら、ストーブの前でぬくぬくと、これが楽しい。

「富士日記」 武田百合子


冬の本というか、冬になると読みたくなる。
夫・泰淳に「何も書くことがなかったら、その日に買ったものと天気だけでもいい」
と言われて綴られた富士山荘での日記。
日々の瑣末な出来事を追ううち、彼女と生活しているような心持になる。
愛犬ポコが死んでも、お腹はすく。買い物もする。
そして、その行間に彼女は泣く。何を見ても涙が出てくる。
「ポコ、早く土の中で腐っておしまい」素っ気なく書かれた一行に、
百合子さんの姿を見て、彼女に夢中になる。
百合子さんと一緒にいたくて、読み終わりたくないから、だらだらと頁を繰る。
毎年、お正月は「富士日記」を読んでごろごろ過ごしたいなあと思いながら、
果たせずにいる。

 

「冬の本」 夏葉社


まさに冬のための本で、84人の「冬」と「1冊の本」をめぐるエッセイ。
冬に読んだ本、冬になると思い出す本。まるで冬のような本。
この本を、冬に誰かに贈るのもいいかもしれない。
誰かの冬の本の記憶が、また別の誰かの冬の記憶とつながるかもしなれい。
拙文ながら、私も書かせて頂きました。
それはさておいて、いい本です。

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